昭和歌謡が若者に人気の理由とは? シティポップとの違いを解説!

昭和歌謡が若者に人気の理由とは?-シティポップとの違いを解説!

2025年は「昭和100年」を迎えます。昭和・平成・令和と時代は移り変わってきましたが、今、昭和の時代が再び脚光を浴び、大きなムーブメントとなっているのが昭和歌謡です。

昭和の歌謡曲がなぜ今、若い世代に刺さるのかを検証し、その歴史を紐解きます。また、昭和歌謡とシティポップの違いについても解説。おすすめの昭和歌謡についても、定番曲と少々マニアックな曲をご紹介します。

昭和歌謡とは?

昭和歌謡とは、その名の通り「昭和の時代に流行った歌謡曲」の事です。歌謡曲とは日本の流行歌、ポピュラー音楽の総称で、大衆に支持される大衆歌の意味でもあります。

ヒットした歌謡曲は時代を映す鏡とも言われ、その時代の象徴的存在。令和の現在では、テレビが発展した1970~1980年代の昭和歌謡が人気となっています。

昭和歌謡が若者に人気の理由

昭和の時代を知らない若い世代に、なぜ昭和の歌謡曲が人気なのでしょうか。ズバリ、音楽サブスクリプション(以下、サブスク)やSNSの発展が大きいからでしょう。

音楽サブスクでは、昔から現在の曲までさまざまなジャンルの音楽を聴くことができます。若い世代にとっては、印象的なイントロやメロディー、心に響く歌詞の昭和歌謡が新鮮に響き、心をくすぐるのではないでしょうか。

昭和歌謡に合わせた簡単なダンスが、TikTokやInstagramなどのSNSにアップされ、主に若い世代で流行っています。SNSでバズった動画が昭和歌謡を知るきっかけとなった、という人も多いのではないでしょうか。

昭和歌謡とシティポップの違い

昭和歌謡とシティポップの違いは、シティポップが都会的で洗練された音楽であることに対して、歌謡曲は必ずしもそうではない、という事が言えます。シティポップは1980年代に出始めた言葉です。

1970年代頃の日本の音楽シーンでは、歌謡曲とロック、ポップス、フォークといったジャンルに明確な線引きがありました。歌謡曲では多くの職業作詞家、作曲家が大衆に向けた優れた楽曲を創り、それを歌う「歌手」の存在がありました。

一方、ロック、ポップスなどでは歌手は「アーティスト」と呼ばれ、自分で曲を作る「シンガーソングライター」でもありました。等身大の言葉で語られる歌詞が、多くの若者の支持を受けます。
シティポップでは、都会的で洗練されたサウンドにおしゃれな言葉が綴られているのが特徴的です。

本来であれば、歌謡曲とシティポップはジャンルが異なります。しかし、若い世代にとっては、全てひっくるめて昭和歌謡として認識されています。
若者にとって、1980年代の曲はシティポップも「昭和の曲」なのです。

シティポップについてはこちらをご覧ください!

令和に再び流行する「シティポップ」とは?

定番の昭和歌謡おすすめ5曲

いつになっても色あせない、若い世代にも聴いてほしいおすすめの昭和の歌謡曲をご紹介します。どの曲も昭和の音楽番組を席巻した人気曲ばかりです。

『赤いスイートピー』松田聖子

Copyright 2021 Sony Music Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.
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松田聖子・8枚目のシングル。聖子楽曲における王道コンビの松本隆(作詞)、呉田軽穂(作曲・松任谷由美のペンネーム)が手掛けて大ヒット。

好きな男性へのもどかしくせつない気持ちが描かれ、それまで「ぶりっこ」と言われていた聖子にとって、女性ファンが増えるきっかけとなった名曲です。

『DESIRE-情熱』中森明菜

©Warner Music Japan Inc.

中森明菜の代表作の一つで、1986(昭和61)年のレコード大賞受賞曲。前年の『ミ・アモーレ』に続いての連覇は、女性歌手としては当時初めてでした。

振り付けや衣装のコンセプトを自身で決めるのが明菜自身のポリシー。ボブのウイッグに着物を洋装にアレンジした衣装が話題となりました。

ノリのいい楽曲はカラオケでも大人気。「は~どっこい!」と合いの手を入れて盛り上がるのも楽しい曲です。

『プレイバック part2 』山口百恵

(C) 2004 Copyright Sony Music Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

昭和を代表する伝説の歌手・山口百恵。俳優・三浦友和との結婚後に引退し、いっさい表舞台に姿を現さないことから、歌手時代の楽曲・映像は崇拝されているほどの人気です。

男女の恋愛トラブルをテーマにしたこの曲は「ばかにしないでよ」と吐き捨てるように歌う歌詞が特徴的です。実は沢田研二『勝手にしやがれ』のアンサーソングとなっています。

『勝手にしやがれ』沢田研二

© Copyright 2025 Universal Music Group N.V. All rights reserved.

レコード大賞を受賞した沢田の代表作の一つです。曲中で帽子を飛ばすパフォーマンスは、子どもたちが真似するほどの人気になりました。出ていく女性に対して「勝手にしやがれ」というやるせない気持ちが描かれています。

当時の沢田は、ザ・ドリフターズの人気番組「8時だョ!全員集合」によく出演しており、歌手としてだけでなく、お茶の間の人気者でもありました。

『木綿のハンカチーフ』太田裕美

(C) 2002 Copyright Sony Music Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

田舎育ちの愛し合う男女の遠距離恋愛と破局までが、会話形式で描かれています。男性が都会へと旅立ち、どんどんその空気に染まっていきます。一方、田舎に残った女性は変わらず男性を愛し心配します。

女性は都会に染まっていく男性を悲しみ、男性はついに「僕は帰れない」と女性に告げるのです。女性は、高価な指輪ではなく、「涙を拭く木綿のハンカチーフをください」とつぶやくのでした。

明るいポップスと太田の甘い歌声が、すれ違っていく二人の関係をよりせつなく感じさせる名曲です。

マニア向け昭和歌謡おすすめ5曲

昭和歌謡として、あまり特集されない優れた楽曲をご紹介します。もっと掘り下げて昭和歌謡を聴きたい人におすすめです。

『私のハートはストップモーション』桑江知子

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レコード大賞最優秀新人賞を受賞した桑江のデビューシングルです。春の訪れと共に訪れた素敵な男性との出逢い。一瞬で恋に落ちた女性の心の動きを、ストップモーションに例えて描いた名曲です。

ポーラ化粧品の春のCMソングに起用され、春っぽいキラキラしたサウンドが心地良い楽曲です。

『フライディ・チャイナタウン』泰葉

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シンガーソングライター・泰葉の伸びやかな歌唱力が冴えわたる名曲です。この曲が再び脚光を浴びたのは、韓国出身のDJ・Night Tempoがフィーチャーしたことがきっかけでした。

シティポップや昭和歌謡が大好きな彼がこの楽曲曲をフィーチャーしたことで、多くの人がこの楽曲を再評価したのです。

『ギャランドゥ』西城秀樹

Copyright 2021 Sony Music Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.
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彼の多くのヒット曲の中でも、一押しはこの曲です。最高にカッコいいナンバーといえるでしょう!
パワフルな秀樹の歌声と、もんたよしのり作詞作曲による派手なサウンドがぴったりです。もんたが仮歌で適当に歌っていた「ギャランドゥ~」という歌詞がそのまま採用されたというエピソードも。彼が歌うと「ギャランドゥ~」が女性の名前に聞こえる、不思議なカッコよさがあります。

『ラヴ・イズ・オーヴァー』欧陽菲菲(読み:オーヤンフィフィ)

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台湾出身の歌手・欧陽菲菲の大ヒット曲です。時代を超えて歌い継がれ、アジアを中心に世界でもヒットした名曲でもあります。
ソウルフルな歌声と壮大なバラードとがマッチしたこの曲は、男女問わずカラオケでも人気です。日本人ではないからこその発音が、より哀愁を感じさせ、心地良いものです。

『たそがれマイ・ラブ』大橋純子

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数々の名曲を残す故・大橋純子の楽曲の中でも、筆者のおすすめはこの曲です。
圧倒的な歌唱力を持つ彼女が表現する、歌詞の世界が素晴らしいです。季節が移り行く中、愛した人との別れに心が引き裂かれそうな女性の心が描かれています。

最後に

昭和歌謡の歴史やシティポップとの違い、おすすめの昭和歌謡楽曲についてご紹介しました。

ご紹介した以外にも、素晴らしい昭和歌謡がたくさんあります。どんどん自分で掘り下げていくのも楽しいと思いますので、ぜひ、あなたのお気に入りの1曲を見つけてください。

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