実際に歌舞伎を見たことがない女性も多いのではないでしょうか。歌舞伎が好きになった方の中には、テレビや新聞で話題を聞く程度で興味がなかったという方も珍しくありません。
そこで、歌舞伎の基本的な概要や歴史を説明しながら、魅力について解説します。
歌舞伎は、江戸時代に生まれた伝統的な演劇です。派手な衣装やメイク、大きな動き、洗練されたセリフなど、これらは歌舞伎だけで見ることができます。
なかには歌舞伎と聞いて、シンプルな「舞台芝居」をイメージするかもしれません。しかし、名前に「舞」とあるように、その本質は「舞踊」です。
演出の中に舞踊の動きが取り入れられており、「日本舞踊」は、大奥の女性により舞が披露された歌舞伎から生まれた、伝統舞踊の一種です。
ちなみに、現代まで続く歌舞伎は、日本の伝統芸能として知られています。
これが歌舞伎役者が芸能界で取り上げられる理由です。家や弟子入りは特に重要で、襲名の話題が新聞やニュースでもよく取り上げられています。
日本で踊る舞台といえば、ミュージカルがよく知られています。「マイ・フェア・レディ」と呼ばれる演目が1963年に初めて国内で上演されます。イギリスを舞台にしていることからも、ミュージカルは日本が海外から輸入したものです。
しかし、歌舞伎は、日本で生まれた舞踏の技術をそのまま引き継いでいるため、腰の位置が低かったり、使われる楽器や音の演出が日本の和楽器という特徴があります。
また、動きについては「盆踊り」と「バレリーナ」の違いをイメージするとわかりやすいでしょう。海外輸入のものには軽やかさや動きの早さ、しなやかな伸びがあり、歌舞伎は逆にゆっくり腰を落ち着けた1シーンを大事にする動きが多く取り入れられています。
歌舞伎はもともと京都で大人気となった出雲阿国(読み:いずものおくに)の「かぶき踊り」が世間に周知されるきっかけとなります。これが歌舞伎の源流となり、その後の発展と変化でいまの歌舞伎が誕生します。
もちろん、「かぶき踊り」が生まれたのは、突然のことではありません。
室町時代の芸能「風流踊り」が「ややこ踊り」に受け継がれ、それが「かぶき踊り」として認知されます。これが「遊女歌舞伎」となります。
しかし、遊女を見せで踊らせる「遊女歌舞伎」は、風紀を理由に政府から禁止措置を受けてしまうのです。
そこで、成人前の若い男性による「若衆歌舞伎」が生まれます。しかし、これも禁止されます。
この後、禁止が説かれる形で条件付きで生まれたのが「歌舞伎」です。例えば、面を付けず台詞を付け、女性を舞台に上げないことが条件となります。
現代の歌舞伎では女性が舞台に上がれません。それは禁止されない条件に女性を舞台に上げないことが含まれ、現代に引き継がれたからです。
歌舞伎は、伝統芸能ということもあり、若い女性にとっては「古臭いのではないか?」「古典は見ても内容がわからないのでは?」と不安に思うかもしれません。
しかし、歌舞伎は歌舞伎にしかない魅力があり、現代のお客さんを楽しませる新たな挑戦も同時に行うなど、伝統と刷新を取り入れた細かい進化や発展を遂げています。
そこで、以下に歌舞伎の魅力を紹介しましょう。
歌舞伎の魅力は、音や歩法、衣装・化粧、場面を切り取る仕草など、歌舞伎にしかない演出を楽しめることです。
舞台上には配役がいるわけですが、見た目の色で配役が分かります。赤が主人公で青が悪役、茶色が鬼などです。
内容も古典の台本だから難しいということはなく、役者の見た目と動き、音楽の雰囲気だけでも十分に楽しめる仕掛けがされています。
演者の動きは昔より引き継がれた型で、これは歌舞伎の演者にしかできず、見ることのできないものです。
それに描き下ろしの新作を試すなど、若いお客を引き込む施策も続けています。伝統芸能だから見ないのは、非常にもったいないのです。
歌舞伎では、和を感じられる音楽が舞台上で演出として使用されています。音が演技のイメージを広げて、動画でいう場面転換や効果音の役目を果たすのです。
例えば、以下のような楽器です。
歌舞伎を見たことがない人でも、太鼓や笛での音楽演出は聞いたことがあるでしょう。
他メディアの舞台やテレビでは、時代・歴史もの作品では、三味線などの和楽器を加えた演出も珍しくありません。歌舞伎では純粋に日本の和楽器を使って効果演出や音楽演出がされています。
他にも、楽器ではない木の板で効果音を出す「ツケ」などが有名です。
これは、演者が歩く際に一歩ごとにツケ板を打ち合わせて鳴らし、効果音として演出の幅を広げます。
強弱で緊迫感も伝わって、より魅力的に舞台を見られます。
歌舞伎では、子役の例外を除いて、すべて男性が演者を務めます。
女性の役は、男性が「女方」として化粧をして出演することになり、その中で「理想的な女性」を演じます。芸を磨いた男性による「理想的な女性」は、本来の女性にはない魅力があるのです。
また、演者が全員男性ということになり、歌舞伎そのものが女性を惹きつける舞台でもあります。当時の歌舞伎も、女性に流行したもので、男性演者ばかりというのが魅力だったことも知られています。
歌舞伎は誰でも見に行けるのも魅力です。伝統芸能は、所見のハードルが高いと思われがちです。
しかし、女性でも気軽に見に行けて、一般の若い女性客も珍しくはありません。年配女性が多いというのもまた事実ですが、自分なりの魅力を歌舞伎で見つけて見に通うのも良いでしょう。