浮世絵師から落語家まで!日本文化がテーマの二次元おすすめ作品

浮世絵師から落語家まで!日本文化がテーマの二次元おすすめ作品

 

 皆さんは日本文化を扱った作品に興味がありますか?
歌川広重や葛飾北斎の浮世絵は国内外に熱狂的なファンを持ちますし、時代物や歴史物のアニメが好きなら学んでおいて損はありません。 

今回は浮世絵を中心に日本文化を扱ったアニメ・漫画・小説をご紹介していきたいと思います。 

若き葛飾北斎の珍道中!『あやかし浮世絵導師』  

©︎角川書店 / 漫画 ちさかあや 原作 大志充

 

最初にご紹介するのは大志充原作・ちさかあや作画の和風伝奇アクション、『あやかし浮世絵導師』。
本作の主人公は『富嶽三十六景』で有名なあの葛飾北斎!
 

彼が成人し頭角を現す前、本名の鉄蔵で呼ばれていた頃のエピソードが描かれていきます。 

躍動感あふれるタッチとダイナミックな構図、江戸中期にブームを起こした妖怪画をアレンジした人外デザインは妖怪好きの性癖に刺さること請け合い。 

養父の後を継いで妖怪退治に携わることになった鉄蔵の反骨精神や浮世絵に賭ける情熱が眩しく、筆一本で魑魅魍魎に戦いを挑む、怖いもの知らずな道行きを見届けたくなりました。 

タイトルの「浮世絵導師」は世に放たれた妖怪を筆で導いて絵に封じるなりわい、及び鉄蔵が義父から受け継いだ使命をさします。 

妖怪画の名手と謳われた浮世絵師・鳥山石燕や彼の代表作『画図百鬼夜行』が登場する上「ひょっとしてあの人では……?」と妄想捗る美形ライバルも参戦し、波乱万丈な展開から目が離せません。 

火車・百目鬼・茨木童子を筆頭に個性豊かな妖怪たちが入り乱れるバトルと、跳ねっ返りな鉄蔵の成長に注目してください。

 

葛飾北斎の娘、葛飾応為の生涯を描いた『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』 

©︎実業之日本社 / 杉浦日向子

 

続いておすすめするのは杉浦日向子による同名漫画原作のアニメーション映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』。
2015年公開、制作はProduction I.Gが手掛けました。
 

本作の主人公は葛飾北斎の娘で浮世絵師の葛飾応為(作中ではお栄)。女性の浮世絵師が珍しかった時代に活躍し、色彩の濃淡や陰影が雅な印象を与える、数々の傑作を発表しました。
しっとりした情感を以て宵の吉原を描いた『吉原格子先之図』が出世作です。
 

浮世絵好きが高じ、父に負けず劣らず、応為もまた破天荒な女性でした。若い頃に一度浮世絵師に嫁いだものの、夫の腕の未熟さを貶したことがきっかけで離縁されて出戻り、以降は似た者同士の北斎と死ぬまで長屋住まいをしていたそうです。 

そんな応為の目を通し、江戸の風俗や町人たちの日常を瑞々しく描き出したのが『百日紅』の真骨頂。 

大好きな浮世絵に人生を捧げ、男に媚びず頼らず我が道を行く彼女の姿は、必ずや令和の女性たちの共感を呼ぶはず。 

北斎・応為へのリスペクトを感じる、浮世絵オマージュの雄渾な映像表現は必見!
共に天才肌の親子の創作秘話には、興味が尽きませんでした。
 

四季折々の自然の美しさ、花鳥風月を鮮やかに染め抜いた女性陣の着物の柄も目の保養。 

派手な演出こそ控えめですが、緩やかに移り変わる人間模様が滋味深い趣を醸しだす、大人の鑑賞に堪えうるアニメーション映画です。 

 

ドラマ化・アニメ化したブロマンス漫画の金字塔『昭和元禄落語心中』 

©︎講談社 / 雲田はるこ

 

続いて紹介するのは元BL作家の雲田はるこの代表作、『昭和元禄落語心中』。
本作は戦前からバブル以降まで、昭和の落語界を担った男たちの生き様を描いた漫画。単行本は全10巻完結済み、NHKでドラマも放送されました。

昭和最後の名人と評判をとる八代目有楽亭八雲(菊比古)と彼の芸に感動し住み込みの弟子となった与太郎師弟を中心に、過去と現在が交錯する形でストーリーが進んでいくのが本作の見所。 

そこに八雲の親友の忘れ形見で義父に反発する小夏や、斜陽の落語界の趨勢が影を落とします。 

作者の雲田はるこはBL畑出身だけあり、嫉妬・羨望・妄執を織り交ぜた男の情念や、湿度の高い愛憎劇を描かせたら右に出る者がいません。 

過去編で描かれるのは青春時代の菊比古と初太郎、同門の親友同士の避けて通れぬ確執でした。 

どこまでも芸に一途でストイックな菊比古と対照的に、上を立てることができない初太郎はやがて孤立し、放蕩三昧で身を持ち崩した挙句に蒸発。 

片や落語界に新風を吹き込んだ破滅型の天才、片や伝統と礼節を重んじる模範的な秀才……。 

固い友情で結ばれた男ふたりが相容れぬ美学故に袂を分かち、再会後に起きたある悲劇によって今度こそ永遠に引き裂かれる展開は、ブロマンス好きな女性のツボに必ず刺さると断言します。 

作中では菊比古の十八番の『死神』ほか、『野ざらし』『寿限無』『あくび指南』『居残り佐平次』『子別れ』『品川心中』など、江戸の昔から語り継がれてきた名作の数々が登場。落語の成り立ちや地口の面白さをわかりやすく解説してもらえるのもありがたいです。 

成人男性がたおやかな遊女を演じる、廓噺の艶っぽさを堪能してください。 

 

おわりに 

以上、日本文化をテーマにした作品を紹介しました。
『昭和元禄落語心中』はドラマ版のキャスト続投で舞台化が決定しており、2.5次元好きとしても期待が高まりますね。

皆さまがアニメや漫画を見る上で少しでも参考になれば幸いです。