※ネタバレあり
最近、若い子たちに「昭和レトロ」ブームがきているようですね。
私もそんな波に便乗して、「昭和」といえば観てもらいたい映画『男はつらいよ』シリーズをご紹介します!
©️松竹株式会社
『男はつらいよ』シリーズは全50作品にも及ぶ長編映画。
「フーテンの寅」として生きる車 寅次郎(くるま とらじろう)が、東京・柴又の故郷を離れ、全国を旅しながらさまざまな人々との出会いと別れを通じて「人生」を学んでいく、義理人情あふれる物語です。
旅の中の寅さんの日常を淡々と描くので、
上の紹介文だけ読むと、少し退屈に感じてしまうかもしれません。
また第1作の封切りは1969年(昭和44年)と54年も前の作品です。
しかし、この作品「今だからこそ」みなさんに観てもらう価値のある作品だと私は思ってます。
それは、この『男はつらいよ』の世界が「優しい人々」で成り立っているからです。
主人公の寅さんは、まさに「永遠の思春期少年」。勝気な性格ですぐにカッとなって怒り出しては、ヘソを曲げて旅に出てしまう。その性格ゆえにトラブルを生み続けます。
また恋多き男で惚れた女のためにはどこまでも尽くしながら、相手が本気で寅さんを好きになったらなぜかそっといなくなってしまう…。
まさにこじらせ男子ですが、でもどこか憎めない…。
ここで少し小話を…。※以下ネタバレあり
この『男はつらいよ』シリーズですが、映画の前に実はドラマで放送されていたんです。
諸事情があってテレビ局にも第1話と最終話しか残っていないらしいのですが、その最終回はなんと寅さんが死んでしまうという衝撃展開でした。
すでに人気のあった寅さん。そのラストを観た視聴者からなんと苦情の嵐。
そんな経緯で、ドラマから映画シリーズとなって寅さんが復活を果たすという…。
まさに昭和を代表する人気キャラクターなのです。
ではなぜ、問題ばかり起こす寅さんがここまで人気になったのか…。
それは彼が行く先々で出会う人の気持ちを、ふっと軽くさせてくれる力があるからじゃないのかなと思うんです。
映画を見ている私たちも日々何かに悩み、ときには後ろ向きになってしまうこともあると思います。
そんなときに何にも囚われない自由な彼を観ると、自分の悩みも「ま、どうにかなるさ」と前向きにとらえることができるようになります。
また映画の魅力は寅さんだけにとどまりません。
彼を取り巻く家族も「素敵」の一言につきます。
家族のみんなは寅さんのせいでトラブルに巻き込まれても、旅する寅さんを心配し故郷に帰るときには温かく迎えてくれます。
今の社会では、「失敗は悪」「迷惑は悪」いう刷り込みがされていて、
問題ばかり起こす寅さんのような人間は「社会不適合者」のレッテルを貼られてしまうかもしれません。
でも、本当にそうなんでしょうか?
彼はたしかにトラブルや失敗を繰り返しますが、誰かの救いにもなっているのは事実です。
寅さんの妹のさくらやおいちゃん、おばちゃん…。
周りにいる人々が彼のことを諦めることをしないからこそ、
寅さんは挫けることを知らず、小さくまとまらずに自由にのびのびと生きていけるのかもしれません。
改めて、寅さんの周りにいるキャラクターたちのすばらしさを感じずにはいられません。
そのほか、昭和時代の柴又を舞台に、そしてロケ地としている映画の世界観や挿入歌など魅力を語るには字数がたりません。
ここまで書いていると終始、感動的な展開が続く作品のようにもみえますが、
日常ベースのコメディタッチな展開なので、どんな方でも観やすいです!
もちろん、ラストには涙がながれる感動シーンもあります!
もしこの記事で興味が出た方はぜひ観てみてくださいね!
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