映画『ヴィレッジ』日本アカデミー賞受賞監督最新作速報!

映画『ヴィレッジ』

日常という荒波の中で、映画を観る機会が年々減ってきています。

ただ幸運にも、ライターという職業柄、お仕事という名目で映画を観ることができ…。

そんな中、私が最近出会った映画『ヴィレッジ』の最新レポートをご紹介したいと思います。

映画『ヴィレッジ』

あらすじ

夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村。
神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。
幼い頃より霞門村に住む片山優は、美しい村にとって異彩を放つこの施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ希望のない日々を送っている。
かつて父親がこの村で起こした事件の汚名を背負い、その罪を肩代わりするようにして生きてきた優には、人生の選択肢などなかった。
そんなある日、幼馴染の美咲が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す――。

映画『ヴィレッジ』公式サイトより)

こちら、第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ、優秀監督賞など6部門で栄光に輝いた映画『新聞記者』でメガホンをとった藤井道人監督の作品です。

主演は横浜流星さん。村に建設されたゴミの最終処分場で働く青年・片山優を演じています。父親が起こした事件により、村八分にされていた優。一度村を出た幼馴染の中井美咲(黒木華)が戻ってきたことにより、それまで不当な扱いを受けていた優に光が当たりはじめるのですが……。

ちなみに主演の横浜流星さん。「え、この人が横浜流星さん?」と、5度見するくらい別人です。中盤でようやくそのイケメンを拝むことができますが、それも一瞬。その風貌すらも別人級でした。

全編通して感じたことは、“良い意味”でとにかく暗い。ヒューマンミステリーと銘打つ通り、主人公を中心に登場人物それぞれが抱える闇や葛藤、そしてそれぞれが掲げる“正義”がこれでもかというくらい観客の心を揺さぶる作品だと思いました。“村”という閉鎖的空間を舞台に、そこで一体何が行われているのか。見てはいけないものを垣間見、さらにまるで自分がそこの村の住人になったかのような印象すら持たせる珠玉の一本だと思います。

人って、見ちゃいけないものは見たくなる。押しちゃダメって言われたら押したくなる。そんな相反する感情を持ち合わせた生き物ですよね。その人間の深層心理を手のひらの上で転がされた、鑑賞後にそんなことを思ったのは私だけではないはずです。

さらに、気持ちが重くなるようなシーンの天気は常に曇天や雨です。そもそも晴れの日があったかどうかも思い出せません。暗いものばかり見せられると疲れてきてしまうものですよね。ですが、その映像と音楽の美しさで疲れを感じさせる暇がないくらい、釘付けにさせてくれます。なぜか魅入ってしまうのはそれすらも凌駕する“映像の美しさ”にありました。

藤井監督のインタビューにもありましたが、この映画には台本にはない追加されたシーンがあります。黒木華さん演じる美咲の弟・恵一役でジャニーズJr.の作間龍斗(HiHi Jets)さんが出演されているのですが、その演技に絶賛した藤井監督が急遽追加したそうです。物語のキーパーソンでもある恵一、どんなシーンかは映画を“最後まで”鑑賞すれば分かると思いますので、ぜひ探してみてください。

そして見逃せないといえばこちらも。

4月26日にリリースされたamazarashiの新曲『スワイプ』。amazarashiのボーカル・ギターの秋田ひろむさんが映画を観て書き下ろした楽曲となっているそうです。さらに横浜さん、藤井監督とのタッグにより、映画の世界観とリンクしたMVも完成し話題になっていますね。まだ観てない方はぜひこちらも。

 

そして最後に。

こちらの作品は、昨年6月11日にお亡くなりになられた、映画プロデューサー・河村光庸さんの遺作となりました。映画『Mother マザー』や『新聞記者』など、社会問題を提起した作品を数多くプロデュースされてきた方です。この映画を観たイチファンとして、心からのご冥福をお祈り申し上げます。