最近”港区文学”と言われる小説ジャンルが、Twitter界隈でヒットしているのをご存知でしょうか?
このジャンルは別名”タワマン文学”とも言われており、「中流階級の悲哀」をテーマにした作品が多いようです。
最近、このジャンルを読んで衝撃的だった”港区文学”の火付け役である作家、麻布競馬場さんの作品をご紹介したいと思います!
©️麻布競馬場/集英社
”東京に来なかったほうが幸せだった?
Twitterで凄まじい反響を呼んだ、虚無と諦念のショートストーリー集”
(Amazon引用)
本作のテーマは「東京で成功したかったけど、できなかった人々」です。
もともとはTwitterで掲載されたショートストーリーなのですが、若者世代を中心に大きな反響を呼びました。
読んだ瞬間、登場人物たちの「東京への愛憎」がドロっとした黒い液体のように読み手の心に流れ込んでくるのを感じる、シンプルながらもリアルなオムニバスの物語が集まっています。
ジャンルとしては「令和のネオホラー」なのではないかというほど、登場人物たちのやるせない気持ちや成功者への嫉妬が突き刺さってきます。そしてラストは後味が悪く、ゾクっとするようなお話もあります…!
正直、ほとんどの読者はこの登場人物たちに共感はできないはず…。
しかし「都会での成功を夢見る若者」たちがどんな人生を送り、どんな本音を抱いて「港区」に向かっていくのか…。
そして、どんな最後(※この場合、死ぬわけではなく物語のフィナーレという意味です)を迎えるのかを早く知りたくて、ページをめくる手が止まりません‼︎
このハマる感覚はなんといいますか、先に話した黒い液体の沼に自分の体がハマっていくような、怖いけど続きを見ずには眠れなくなる…。なんとも不思議な「登場人物たちによって読まされている」ような感覚になる作品でした。
そして、読み終わった感想はひとつ。
「港区にもタワマンにも住みたいと思わなくてよかった」
です。
成功者への憧れを持ってしまうと上を見続け、競馬場の馬のように成功者レースから抜け出せなくなっていく…。その登場人物たちがつづる「成功への疲弊」が、私たちの今の平凡な生活の中にある幸せを改めて実感させてくれるのかもしれません。
そして思うんです。
「でしょ、そんな簡単に成功なんてしないんだよ」と。
なぜか上から目線でホッとしてる自分がいる…。
もちろん、そんな私の部屋からも東京タワーが見えません。
いかがでしょうか?
こんな「ドロっとした怖さ」を味わいたい方はぜひご一読くださいね!
ちなみに麻布競馬場さんのTwitterはこちら。
ではまた!