

映画やドラマに登場する悪い男って妙に魅力的ですよね?
人には言えない過去や“裏の顔”があるからこそ醸し出される、ミステリアスな雰囲気にもゾクゾクするし、陰のある表情もセクシーです。好きになってしまったら抜け出せない沼のような魅力にとりつかれて、もしかしたら破滅してしまうかも?
でも、むしろそのスリルに惹かれてしまう……。
今回は、そんな悪い男を存分に楽しめてしまう映画をご紹介します!
©️CJ E&M Corporation, 2015.
2015年に日本公開された韓国映画『無頼漢 渇いた罪』。ある刑事が捜査のため身分を隠して犯人の情婦に近づいたことから始まるサスペンスです。
殺人事件の容疑者・ジュンギルを追う刑事・ジェゴンは、彼が愛人に連絡するタイミングを見計らい取り押さえようと、ジュンギルの愛人・ヘギョンが働くバーにジュンギルの元刑務所仲間を装ってフロアマネージャーとして潜入します。
いつ帰るとも分からない恋人を待つのに疲弊するヘギョンは、次第にジェゴンに心を開くように。ジェゴンの感情もだんだんと変化していく……というストーリーです。
もちろん、殺人犯のジュンギルは “法律に触れた” 悪い男ですが、 “人としての罪” ということでいえば、ジェゴンもかなり悪い男です。ルックスは抜群によく、一度は結婚しているところを見ると、ジェゴンはやはりモテているようです。ですが、ジェゴンは女性に対してはもちろん、人間に全く興味が持てません。つまり、愛という温かい感情を知らない男なのです。
一方、ジェゴンは仕事ばかりしているので、刑事としての正義感や組織への忠誠があるのかというと、そうでもなさそうです。タイトルの「無頼漢」とは、無法者や他を頼らずに自分の力で生きる者、他人を省みない漢(おとこ)という意味があります。
常に無愛想で人と交わらない、感情のなさそうなジェゴンはまさに「無頼漢」ですが、そんなところがクール&ミステリアスで、何だか目が離せません。
恋人を裏切ることはできないと、躊躇うヘギョン。自分の本音か刑事の嘘かわからないジェゴンは、あるときとうとう男女の一線を越えてしまいます。ここからのシーンが圧巻です。
それとなく「一緒に住もう」と誘うヘギョンに戸惑うジェゴンは、それでも思わず「一緒になろう」という言葉を口にしてしまいます。それでも自分の感情が愛だと分からない彼は、ヘギョンを静かに突き放してしまいます。
簡単には行かない悪い男、ジェゴン。ヘギョンになったつもりで、悪い男に溺れてみたいところですね!
1995年の韓国の一大繁華街・江南(カンナム)を舞台に、潜入捜査官・裏社会のボス・女性の麻薬保安官によるサスペンスフルな恋の三角関係が描かれたドラマ『最悪の悪』。
地方のいち警察官だったジュンモは、出世のため大都会・ソウルの江南へ乗り込み、裏社会を牛耳る江南連合に潜入する危険な任務を担うことになります。ジュンモは妻で敏腕麻薬保安官であるイジョンからもサポートを受けながら、連合を牛耳るボス・ギチョルの側近として頭角を現していきます。
しかし、ギチョルにとってイジョンは幼なじみであり、今も忘れられない初恋の相手だったのです。
3人は互いに秘密を胸に抱きスリリングな関係を展開していきます。
この作品には、贅沢にも魅力的な悪い男が二人も登場します。まずは身分を隠して、江南連合に潜り込んだジュンモです。
優しく平凡だった彼が、イジョンに「完全にあちら側の人間になってしまっている」と言われてしまうほど、深入りしていくにつれどんどん悪に染まっていく凄味は、怖い反面、目が離せなくなってしまいます。
一方、登場シーンから“悪い男”として登場してきたギチョル。イジョンとの出会いは教会だったというくらい、ヤクザでありながらも根はピュアな男です。普段の強面で冷血な表情と、初恋の彼女と一緒にいたいがために、いずれは裏稼業を整理して麻薬取引からも足を洗おうとしている一途さのギャップにめまいがしそうです。
二人のヤクザで悪い男に揺れるイジョン。翻弄されるイジョンが羨ましくてたまりません。
©️魚喃キリコ/祥伝社・ 2017『南瓜とマヨネーズ』製作委員会.
1990年代~2000年代にかけてサブカル系漫画をリードし、一世を風靡した漫画家・魚喃(なななん)キリコの原作を映画化した『南瓜とマヨネーズ』。
主人公は、平凡な女性・ツチダ。彼女はミュージシャンで恋人のせいいちを支えるため、彼には内緒でキャバクラで働いています。
ある日、ツチダは今でも忘れることができないかつての恋人・ハギオと偶然に再会してしまいます。良くないと分かっていても、ツチダはハギオとの関係に再びのめり込んでしまうのでした。
この作品の悪い男は何と言ってもハギオです。大人でスマートな彼は「お前、俺のこと本当に好きだったよね。俺はそんなお前が大嫌いでさ。でも今は好きだよ」なんてことをサラリと言えて、ツチダの揺れる心を利用して都合の良い展開に持っていこうとするのが、実にずる賢いのです。
ツチダのキャバクラ勤めを知り、バンドを辞めるような優しいせいいちがいるにもかかわらず、かつて付き合っていたときからずっと自分を弄ぶ余裕たっぷりのハギオのことを、ツチダは拒めません。
ある日ようやくツチダは、彼との関係を断ち切ろうと心に決めるのですが、そんな時でもハギオはそっけなく別れを受け入れて終わらせてしまいます。
あれだけ夢中にさせておいてあっさりサヨナラできるハギオ。破滅させかねないと分かっていてもすがってしまう禁断の元カレは究極の悪い男なのではないでしょうか。
映画やドラマの魅力的な〝悪い男〟をご紹介しました。どの男性も魅力的ですが、やっぱり悪い男はフィクションの中だけにしたいところ。
みなさんもぜひ、映画やドラマで、アウトローのムードに浸ってみてはいかがでしょうか?