「将来何になろうかな？」
“将来の夢”というのは、幼稚園生の頃から繰り返し何度も問いかけられてきた話題です。
幼稚園生時代の卒園アルバムの中に掲載され、小学校低学年から作文で書かされ、小学校の卒業アルバムにも掲載され、さらに中学校に入ってもまた作文で書かされ…。
「大人は一体、何回この“将来の夢”を聞くんだろう」令和を生きる聡い子供は、多分そう思っているはず。ここ数年は順位を落としていますが、それでも人気職業ランキング上位に位置する「YouTuber」なんて書こうものなら、ママが何とも言えない表情をしていた…なんて経験をしている子供もいるのではないでしょうか。
それは仕方ない。だって、アラサー＆アラフォーの親世代の頃は、「YouTuber」なんて職業なかったですからね。子供の将来の夢としての市民権を得るのは、もう少し先のような気がしています。
そこで問題になるのが、子供がなぜ「YouTuber」や「アイドル」といった職業に憧れを持つのかということです。それはズバリ、身近にあるお仕事だから。これに尽きるのではないでしょうか。今や小学校の授業でタブレットを使うのは当たり前。ネットネイティブの子供たちにとって、それは“現実”の、しかも“身近”な職業なんです。
そう、身近にあるから憧れる。そういった意味では、『2022 FIFAワールドカップ』で日本が強豪ドイツに勝利し、ベスト８という初の快挙を成し遂げたことで、「サッカー選手＆監督」という職業を目指す子も増えたはず。元々男の子たちの間で人気の職業ですが、「サッカーを習いたい！」という男の子が爆発的に増えたことでしょう。連日伝えられるサッカーニュースで大盛り上がりの日本。子供だってその熱気を肌で感じていますからね。
また、お父さんやお母さんがイキイキと働く姿を見て、自分も「そうなりたい！」と目を輝かせる子供も多いはず。
子供だからと侮ることなかれ。子供というのは、身近にあってカッコいいものに憧れる。ならば、子供が大好きな“メディア”というツールを使って、親が誘ど…ゴホン。オススメしたい職業の“入り口”をエンタメで作ってあげるのはいかがでしょうか。
医者、弁護士、検事、公務員、宇宙飛行士、パイロット、建築デザイナーなど、世の中はそんな“お仕事”をテーマにしたエンタメ作品で溢れ返っているのです。
しかし！
エンタメ作品をただ観せればいいってもんじゃありません。だって、厳しすぎる現実はもう少し大人になってから知ればいいんです。“入り口”は楽しくなくちゃ誰だって入りたくなくなっちゃうでしょうに。ディズニーランドのゲートを潜るときティンカーベルに魔法を掛けてもらえるように、“入り口”はそれくらいのワクワク感があればいいんです。
お医者さん＆医療従事者が活躍するドラマ作品
近年、医療系ドラマのトップを走り続けている作品といえば、やはり『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』（テレビ朝日系）シリーズではないでしょうか。様々な妨害に遭いながらも「私、失敗しないので」の名セリフと共に、米倉涼子さん演じる大門未知子が患者を救うまでがお約束の、勧善懲悪系ドラマです。
©2020,2021 テレビ朝日
『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜 7』Blu-rayBOX／29,105円（税込）
このドラマの何が人気って、孤高のドクター・大門未知子が不可能を可能にするところ。どんな名医でも困難とされる手術に立ち向かう姿、そしてそれを必ず成功させてしまう予定調和のストーリーが、ファンの心を掴んで離さないんだと思います。
その姿は水戸黄門よろしく、格さんが懐から印籠を出せばどんな悪徳代官も平伏す。大門未知子には、そんな姿を彷彿させるものがあるから、大人も子供も安心して観れるんでしょうね。
「まだウチの子には早いかも…」とお思いのお母様。遠藤憲一さん演じる海老名敬のコミカルな動きが面白い、神原名医紹介所で飼われている看板猫のベンケーシーが可愛い、導入なんてなんでもいいんです。とりあえず子供がハマればこっちのもの。「これはお仕事ドラマだから」と心の中で唱えれば、テレビを観せる罪悪感も減るし、外科医という職業にも憧れが持てる。一石二鳥じゃありませんか。
ただし、物語には大手病院や大学病院の腐った慣習も描かれているので、「フリーランスの外科医になる！」と子供が言い出したらゴメンなさい（笑）。
©2015 テレビ朝日
『DOCTORS 3 最強の名医』Blu-rayBOX／31,020円（税込）
続いての作品は、同じくテレビ朝日系ドラマ『DOCTORS〜最強の名医〜』。主演の沢村一樹さん演じる凄腕外科医・相良浩介が、腐った堂上総合病院を立て直していく物語。飄々とした性格で、時には悪に、時には善にと、周囲を上手くコントロールするために顔を使い分ける相良先生。
現在は院長を務めるマザコンならぬ元院長の甥・森山卓（演・高嶋政伸）との丁々発止のやり取りが痛快な作品です。腕は確かなのに人間性に問題のある“卓ちゃん”こと森山院長。威張り散らしてまるでジャイアンみたいな人ですが、やる時はやる。そのギャップがあるからなのか、ダメな子程可愛いという母性なのか…なんか応援したくなるんですよね。
物語の大筋は、堂上総合病院の立て直しですが医師として患者と向き合う姿勢も共に描かれています。森山院長を中心とする同調圧力に屈する医師たちの葛藤もありますが、そういった部分はなんだかんだコミカルな描写に終始。そのため、「大人って怖い」などと思わずケラケラ笑いながら楽しむことができるのではないでしょうか。
ただし、これまで「ママ大好き！」と言っていた男の子が、この作品を観て急にママ離れをしたらゴメンなさい。第２シリーズまでレギュラー出演されていた故・野際陽子さん演じる元院長・堂上たまきに卓ちゃんが甘えるシーンは、大人が観たら“面白い”で終わるのですが、子供は「こんな大人になりたくない」と思うかも。同族嫌悪を植え付けられる可能性があります。呼び方も「ママ」から「お袋」なんてことになるやも…。でも自立を促すという意味では、それもありなのかもしれませんね。
ちなみにこちらの作品、2023年新春スペシャルでシリーズファイルなるを迎えます！ 2011年から続いてきたドラマが終わってしまうのは悲しいですが、途中から観ても楽しめる作品なので、親子で一緒にドラマを楽しんでみてはいかがでしょうか。
©FujiTelevision Network, Inc. All rights reserved.
そして、看護師系ドラマでのオススメといえば『ナースのお仕事』（フジテレビ系）ではないでしょうか。ママさん世代にとっても懐かしい作品ですよね。映画化もされていて、シリーズ最高視聴率は22.1％！ 主人公の型破りなナース・朝倉いずみを演じているのは観月ありささん。松下由樹さん演じる先輩ナース・尾崎祥子とのコミカルなやり取りが人気の医療系コメディドラマです。
緊迫した雰囲気の医療現場で、あんなに楽しそうに働く姿。近年の医療ドラマじゃ考えられないくらいコミカルなシーンが多いんですよね。もちろん、命の大切さや命と向き合う医療従事者としての矜持も描かれています。そして何より注目していただきたいのが、新米ナースの朝倉がどんどん成長していく様。勤務初日に、ナース服のスカートをミニに改造して怒られていた頃が懐かしいと思えるくらい、立派なナースになるんです。後輩の指導係に抜擢された時なんて、感慨深いものがありました。
物語が進むにつれ、主人公も一緒に成長してく。朝倉と先輩の切っても切れない固い絆や、ナースたちの恋愛＆結婚などのプライベートシーンも満載。シリーズ物ならではの醍醐味が詰まった作品です。現在はFODで配信中なので、ぜひチェックしてみてください。
子供に見せたい“お仕事”エンタメ〜医療系ドラマ編〜、いかがでしたでしょうか？
まだまだ紹介した作品がてんこ盛りですが、今回は一旦ここまで。また次回！