

儚く美しい声、日本語による表現豊かな歌詞、そんな魅力的な歌を知っていますか?
この記事では、私の人生を大きく変えた、スピッツの『楓』という曲を紹介します。
『楓』は、1998年7月7日に19枚目のシングルとして『スピカ』と両A面でリリースされました。
8枚目アルバム『フェイクファー』や、シングル曲を集めたアルバム『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』にも収録されています。
『楓』は『スピカ』と両A面シングルとしてリリースされましたが、一般的には『楓』の方が認知度が高いです。しかし、2022年のファンクラブ限定イベント「ゴースカ8」で行われたファン人気投票では、『スピカ』が3位にランクインするなど、どちらの曲も根強い人気を誇っています。
『楓』は先に述べたように1998年リリースの曲です。実に19年後の2017年に、女優・上白石萌歌さんが「午後の紅茶」のCMでカバーしたことで再び注目を集めました。
その翌年の2020年、上白石さんによるカバー楽曲としてリリースもされています。
上白石さんのみならず、この曲は多くのアーティストにカバーされた曲でもあります。たとえばSuperfly&秦基博さん、Uruさん、朝倉さやさん。新しいところではVtuberの夏色まつりさんなど、バラエティー豊かなアーティストの方々が『楓』を歌われています。
『楓』は、TVerの歴代人気1位(2022年時点)となったドラマ『silent』で再び注目されました。
(YouTube oricon公式チャンネル引用)
このドラマはまさに『楓』をモチーフに作られており、楽曲とドラマを照らし合わせた考察がSNSなどで多く見られました。
ここからは、筆者自身の経験も交えながら『楓』の魅力を解き明かしていきます。
『楓』そしてスピッツの魅力は、何と言ってもボーカル・草野マサムネさんの歌声です。ただ聞いているだけでも、その魅力に取り込まれてしまいます。
この楽曲の魅力は何と言ってもサビのロングトーンです。「さよなら」という切ない言葉を、真っ直ぐで儚い声に乗せて歌い上げます。このワンフレーズだけでも、この曲の魅力が伝わるのではないでしょうか。
サビだけでなく、Aメロ、Bメロにも注目して欲しいです。平坦で素朴な歌声によって、この楽曲の儚さがより一層引き立てられています。
草野マサムネさんの歌声の魅力は、感情を押し付けないところにあります。ただひたすらに歌詞を歌い続けているだけです。上手さを主張することもなく、聞かせようとすることもありません。しかし、いつの間にか、こちらから聞きに行ってしまう。そんな不思議な魅力を持った歌声です。
ここからは、歌詞の魅力について述べていきます。ただし、あくまでも「解釈は聞き手に委ねる」という草野マサムネさんの言葉を大切にしたいと思います。
一番のBメロに「かわるがわるのぞいた穴から何を見てたかなぁ?」という歌詞があります。筆者は「かわるがわる」というのは季節の移り変わり・「穴」は「君の目」だと感じます。君と一緒に日々を過ごす中で、「君」はどんな景色を見て、どんな「一人きりじゃ叶えられない夢」を描いていたのでしょうか。
サビの最後のフレーズ「僕のままでどこまで届くだろう」からは、「かわるがわる」な君に思いを巡らせていた「僕」が「僕のままで」どこまでやれるのか、という気持ちが伝わってきます。変わる君と変われない僕のもどかしい対比とも感じられます。
楓の花言葉は「調和」「美しい変化」「大切な思い出」「遠慮」です。大切な人との別れを感じますが、それも「美しい変化」なのではないでしょうか。どの花言葉と照らし合わせても、この楽曲と重なる気がします。
『楓』との出会いは、私の人生に2つの変化をもたらしました。
ひとつは、心が救われたことです。優しい歌声と惹きつけられる歌詞、そしてどこか心に寄り添ってくれるこの楽曲に、私は救われました。「心のトゲ」を隠し持っていた私でしたが、いつの間にか「小さく丸く」なっていました。
もうひとつは、言葉の世界が広がったことです。『楓』を聞き、筆者はスピッツにハマりました。歌詞を読み込むようになると、日本語の面白さに気づき、小説を読むようになりました。
『楓』をきっかけにして、言葉による表現の素晴らしさを発見でき、言葉の世界の美しさを知ったのです。
この記事では、スピッツの『楓』の魅力について述べました。『楓』以外にも、スピッツには魅力的な楽曲がたくさんあります。
読者のみなさんにも、人生を変えるような音楽との出会いがあることを、心から願っています。