近年、サブスクリプションの浸透やTikTokを代表とする音声コンテンツの普及により、音楽との出会い方は如実に変化している。
インターネット発のアーティストが続々とメジャーデビューを果たしたと思えば、昭和の楽曲が現代でリバイバルヒットを巻き起こすなど、リスナーが好む音楽であれば新旧を問わず評価される可能性を秘めている時代。
言い換えれば、時代を超えた多様な音楽に触れる機会が、今の世の中には溢れていると言えるだろう。
この記事では、そんな世の中でも着々と人気を集めている、話題のJ-POPアーティストを紹介していく。
(出典:TOMOOオフィシャルWebサイト)
東京都出身のシンガーソングライターであるTOMOO(トモオ)は、今、もっとも注目を集める女性アーティストだ。
かわいらしい姿からは想像もつかない重厚な歌声と、記憶に強く刻みつけられる歌詞のワンフレーズが印象的な彼女の最新曲「エンドレス」は、2024年11月現在フジテレビ系列で放送されている『全領域異常解決室』のエンディングテーマにも抜擢されている。
思い合いながらも別れたふたりの男女を歌う本楽曲は、ドラマの世界観にぴったりと寄り添うように、一話完結のストーリーの最後に静かな余韻をもたらしている。
さらに、TOMOOの楽曲のなかでも特にファンからの人気が高い「Super Ball」は、YouTubeに投稿されているMVでの再生回数が600万回を超えており、今もその数字を伸ばし続けている。
〈「好き」をだまらせないで〉や〈丸いままつらぬいて〉と歌われる歌詞に、ハッとさせられた人も多いのではないだろうか。
何かと個性や長所を重んじられる現代社会においては、見栄えを意識して大衆に迎合したり、わざと尖った物言いをしてしまったりすることが往々にしてある。
だからこそ、周囲の意見に押しつぶされて、自分自身を見失ってしまった経験のある人には、芯に響く言葉がこの楽曲にはちりばめられているはずだ。
(出典:PEOPLE 1オフィシャルWebサイト)
変幻自在な歌詞と捉えどころのない独創的なメロディが特徴的なPEOPLE1は、特に若者世代を中心に多くの支持を集めている。
実際、アニメ『チェンソーマン』や『王様ランキング』のEDテーマに同バンドの楽曲が使われたことも記憶に新しく、次々と人気作品にタイアップソングを提供していることからも、その人気の高まりが見てとれる。
2024年11月現在TBSテレビで放映中のドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』の主題歌には、彼らの最新シングル「メリバ」が抜擢。
”メリーバッドエンド”の略語であり、ハッピーエンドともバッドエンドともとれない物語の結末を指すタイトルのもと描かれた歌詞は、ドラマの行く末を占うような意味深な言葉が並んでおり、ドラマファンからも強い興味を抱かせる楽曲となっている。
そんな彼らを一躍、人気アーティストへと押し上げたのが「常夜灯」という楽曲。
ゆるっとしたダンスを踊る女の子のアニメーションが印象的で、繰りかえし再生してしまう中毒性のあるMVは一度、観ると忘れられない魅力を秘めている。
そして、淡々とした歌い方に気を取られていると〈才能って一体何だろうね〉と、どこか世の中を達観しているかのような歌詞に不意をつかれ、いつの間にか彼らが作りあげるPEOPLE1の世界観の虜になっているに違いない。
(出典:羊文学オフィシャルWebサイト)
最後に紹介するのは、Vo.塩塚モエカの透明感あふれる歌声にシューゲイズサウンドが鳴り響くスリーピースバンド・羊文学。
2020年にメジャーデビューを果たしてからは独特な世界観で着々と支持を集め、2022年にはTBS系列で放映された人気アニメ『呪術廻戦』2期「渋谷事変」のEDテーマとなった「more than words」が国内で1億ストリーミングを突破した。
また、同曲は海外での人気も高く、人気YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に出演して披露した動画は、すでに1000万回再生を達成している。
そんな彼女たちの楽曲の最大の特徴と言えるのが、アンバランスとも言える透明感と荒々しさが共存しているサウンド。
決してメジャーシーンのど真ん中を射抜く音楽ではない。それでも、羊文学の楽曲はタイアップソングをきっかけに、オルタナティブロックとポップスが融合した独自の世界観が多くの人々のもとへと届いた。
昨年、2023年にはバンド初となる海外公演も実現したことでグローバルな人気を獲得しつつ、2024年には人気アニメ『【推しの子】』第2期のEDテーマに「burning」が選ばれたことで、さらなる注目を集めている。
現在はDr.フクダフロアの当面休養が発表されているが、彼の復帰後に完全体となった羊文学が、今から楽しみで仕方がない。
膨大な音楽が世の中に溢れている現代。この記事で紹介した3組のアーティストを筆頭に、今やJ-POPの枠にとらわれない多様なアーティストが続々と音楽シーンに登場している。
しかし、さまざまなアーティストの作品を簡単に聴くことのできる便利な時代だからこそ、流行の波に耳を傾けながらも、お気に入りのアーティストを見つけてみてほしい。