アニソンの歴史~アトムからアイドルまで〜

アニソンの歴史~アトムからアイドルまで〜

アニメソング、通称「アニソン」は、アニメの主題歌や挿入歌、イメージソングなど作品を彩る楽曲の総称です。アニソンと聞いてあなたは何を思い浮かべるでしょうか?

『新世紀エヴァンゲリオン』の『残酷な天使のテーゼ 』、『ワンピース』の『ウィーアー!』、最近では、『鬼滅の刃』の『紅蓮華』や『【推しの子】』の『アイドル』など、日本のアニソンには多くの名曲があります。

アニソンという定義がいつから始まったのでしょうか。詳しく解説していきます。

 

アニソンの誕生

日本で初めてアニメが、誕生したのは1917年。無声映画の『かまくら刀』だと言われています。

 

その後、アニメに初めて歌がついたとされているのは、同年に公開されたアニメ映画『黒ニャゴ』という作品です。アニメが「テレビまんが」と呼ばれていた時代で、主題歌ではなく童謡としての扱いでした。

 

アニソンの起源は、1963年に放送が開始された『鉄腕アトム』だと言われています。

「空をこえてラララ〜」から始まる主題歌は、現在でも多くの人々が知っているのではないでしょうか。メインとなる歌手は起用されておらず、上高田少年合唱団が担当しています。

この頃のアニソンは、主人公の名前や必殺技などが織り込まれており、子どもにもわかりやすいものだったため、子供向けとして認識されていました。

 

1970年代になると、昭和のアイドルブームなどさらなる新しい文化の発展と共にアニメにおいても、変化が見られます。アニメは、大人びた年の主人公が登場し、中高生や幅広い世代に愛されるものとなりました。

 

さらに、アニソンシンガーと呼ばれる存在が現れます。『マジンガーZ』を歌う水木一郎や、『宇宙戦艦ヤマト』を歌うささきいさおなど、歌い方や声質が多様化していきました。

(水木一郎氏© yellowbird All Rights Reserved)

 

1975年に発売した『およげ!たいやきくん』は、日本で一番売れたシングルとしての記録を保持しています。

この頃、アニソンの地位が急激に向上したのです。

 

アニメブームとアニソンの広がり

・第一次アニメブーム

1980年代になると、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』の流行により、空前のアニメブームが到来します。

 

1983年に放送された『キャッツ・アイ』のオープニングテーマ『CAT’S EYE』や、1987年に放映された、『シティーハンター』のエンディングテーマ『Get Wild』は、それぞれアニソンシンガーではなく、一般のアーティストが手がけています。

 

これらの曲が大ヒットしたことによって、オリコンチャートにランクインしたり、紅白出場するなど、アニメ放送時以外でも注目されていくのです。

 

・第二次アニメブーム

1990年代になると、『ちびまる子ちゃん』や『名探偵コナン』など、現在でも放送されているアニメが開始されていきます。

アニソンといえばなんと言っても1995年に放映された『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』でしょう。

 

(ジャケット写真:高橋洋子『残酷な天使のテーゼ』©KING RECORD)

 

奥深く謎めいた世界観や青少年たちのリアルな心理描写が魅力で、現代でも、高い人気を誇る作品で、『残酷な天使のテーゼ』は、アニメファンはもちろんアニメを知らない人にも広まりました。

 

声優ブームと新たなアニソンの形

2000年頃から水樹奈々や平野綾などの声優が、ライブ活動を積極的に行うなど、声優が舞台に立つという動きが多くみられるようになります。

 

さらに、2010年以降には、キャラクターソングの存在も大きくなり、『うたのプリンスさまっ♪』『ラブライブ!』など、歌を主体としたアニメが作られ、アニメ内の声優が、実際にステージで歌うようにもなります。

そして、次第にLiSAや藍井エイルなどの、アニソンシンガーが次々と登場します。この頃には、紅白などのテレビ出演やライブの開催が当たり前となり、アニソンはアニメを知らない層にも知られるようになりました。

 

これからのアニソンの可能性

近年、アニメ作品がグローバルに配信されることで、アニメ作品を通じてアニソンがさらに幅広い世代や国境を越えて広がっています。

2023年8月には、米津玄師による『チェーンソーマン』の『KICK BACK』がアメリカ・レコード協会(RIAA)によってゴールド認定を受けたことも話題です。日本人としては、1984年にオノ・ヨーコが、プラチナ&ゴールド認定を受けていますが、日本語の楽曲としては初の快挙です。

『【推しの子】』のオープニングテーマであるYOASOBIの『アイドル』では、現役のアイドルも踊ってみたや歌ってみた動画をあげるなど大きな流行となりました。Youtubeの再生回数は、5億を突破(2024年9月現在)しています。

 

(ジャケット写真 YOASOBI 『アイドル』 © Sony Music E)

現アニソンが多くの人に聞かれ世界に広がっているのはTikTokなどのSNSの存在も大きいでしょう。キャチーで心を掴むサビは、国境を越えて広まりやすくなっています。

以上、アニソンの歴史をざっとまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

今後も時代に応じて、さらなるアニソンが広がりを見せるアニソン。ぜひアニメと共アニソンを楽しんでくださいね!