そんな「コジコジ」が発売されてから30年たった今でも愛され続ける理由を、コジコジ大好きな筆者が探ってみたいと思います！

『コジコジ』が愛される理由とは？

①赤ちゃんみたいなキュートな見た目と中身のギャップ

さくらももこ先生の落書きから始まったという主人公のコジコジは、ふっくらとした体と大きな耳、つぶらな瞳が特徴の赤ちゃんみたいなかわいい生き物。

©さくらももこ/日本アニメーション

落書きでこんなかわいいキャラクターを瞬時に生み出せてしまうももこ先生の才能がすごい！と言わざるを得ません。でも可愛い見た目とは裏腹に、毒舌で自由奔放な唯一無二のゆるキャラ主人公。見た目と中身のギャップがたまらないキャラクターとして魅力的なんです！

②ギャグでユーモラスな日常の中で垣間見えるふとした哲学

コジコジはギャグ漫画であり、ページを捲るたびにコジコジや彼を取り巻く一癖も二癖もある登場人物が笑わせてくれます。しかし、その中でふと読者に人生や社会について深く考えさせられるような言葉やエピソードが散りばめられています。

ここで私の好きなコジコジセリフをいくつかあげます。

”コジコジだよ コジコジは生まれた時からずーっと 将来もコジコジはコジコジだよ”

”飛べないときはゆっくり休めばいいじゃん。仕方ないよ、飛べないんだからさ”

”遊んで食べて寝てちゃダメ？盗みも殺しも詐欺もしてないよ。何が悪いの？”

コジコジは、自分のことを「コジコジ」としか言いません。何者かになろうとせず、ただ自分らしく生きます。

コジコジは、年齢も性別不明な謎の宇宙生命体。つまり何者であるか分からない存在。生まれたときからずっとコジコジであり続け、周りの意見や常識にとらわれず、自由に生きています。

何者にもとらわれない、「がんばらないありのまま」の生き方は、時に私たちの常識を覆し、読者に考えさせられるきっかけを与えてくれます。

社会の常識や価値観にとらわれて、つい疲れてしまうような方は、ぜひ本作を読んで肩の力を抜いてみてはどうでしょう？

本作のメルヘンチックな世界観は、読者に安らぎと癒しを与えてくれます。しかし、同時にクラスメイトやコジコジを取り巻くキャラクターは、まるで人間社会のような悩みをしっかりと持っています。

例えば…

・自分が何者か知りたい記憶喪失の男の子

・モテまくりたい雪だるま

・自分を尊敬してほしくてなんでも知ってるふりをする「物知りじいさん」

そんな彼らにコジコジはピュアと書いて「毒舌」と読むようなナイフのようなセリフを突きつけたりします。ギャグ漫画として彼らをみて笑っていても、いつの間にか

「待って…今笑ってたけど、これって自分にも当てはまるよな。ドキリ！」

と気付かされてしまう…。

そんな風刺も詰まっている高度なギャグ漫画、それが『コジコジ』。